空席が目立つスタジアムがもたらす驚異の経済効果とは?『スタジアム改革』の全貌を徹底解説

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スタジアム開発とまちづくりの連携

スタジアムは単なるスポーツ施設ではありません。近年では、スタジアム開発とまちづくりが連携し、地域活性化に貢献する事例が増えています。野球チームの横浜DeNAベイスターズ横浜スタジアム周辺を再開発し、複合施設や商業施設を整備したことで、集客力向上や地域経済の活性化を実現しました。

スタジアム開発とまちづくりを連携するメリットは、地元住民の愛着や地域への貢献意識を高められることです。地元のチームが活躍することで、地域に一体感が生まれ、地域住民の誇りや満足感が向上します。また、スタジアム周辺に商業施設や娯楽施設が整備されることで、地域全体の賑わい創出にもつながります。

さらに、スタジアム開発はインフラ整備の促進にも役立ちます。シャトルバスの運行や鉄道駅の設置など、スタジアムへのアクセス向上のためのインフラ整備が行われることで、地域全体の利便性向上にも貢献します。

スタジアム開発とまちづくりの連携は、地域活性化やインフラ整備、地域住民の満足度向上など、さまざまなメリットをもたらします。地方創生や地域経済の活性化を目指す自治体にとって、有益な取り組みとなることが期待されています。

スタジアムの従来の課題

empty stadium

過去、スタジアムは赤字を生み出す箱物と考えられてきました。試合のない日に利用されず、メンテナンスと運営に多額の費用がかかることがその理由です。また、スタジアムは市街地から離れていることが多く、アクセスが不便でした。これは、スタジアムが地域経済に貢献するというよりも負担になるという認識につながりました。さらに、実業界のノウハウのない公的機関がスタジアムを運営していることも課題でした。彼らはビジネス的な視点から収益を上げる方法を模索するのではなく、スポーツ施設としての利用に重点を置いてきました。

政府の「スマートメニュー」政策

スマートメニュー

2016年、政府は「スマートメニュー」政策を発表しました。これは、スタジアムを単なるスポーツ施設としてではなく、ホテルやショッピングセンターなどの設備を備えた複合施設に変えることを目指す政策です。この政策により、全国に20もの新しい施設が建設され、既存のスタジアムの改築も行われる予定です。この政策の目的は、スタジアムを地域活性化の拠点とし、スポーツの力を活用して地元経済の発展を促進することです。

北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド」

エスコンフィールド

北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド」は、野球場だけでなく、ホテル、グランピング施設、ドッグラン、農業体験施設など、さまざまな施設が併設された複合施設です。野球の試合がない日でも入場可能で、温泉やサウナも楽しめます。また、テレワーク施設も備えており、自然豊かな北海道に移住して週末は野球観戦やショッピングを楽しむという新しいライフスタイルを提案しています。

エスコンフィールドの特徴

エスコンフィールドの特徴は、単なる野球場ではなく、周辺にホテルや商業施設、農業体験施設などが充実した「まち」である点です。野球の試合のない日でも入ることができ、さまざまなアクティビティや体験を楽しめます。さらに、テレワーク施設も備えており、自然豊かな北海道でリモートワークをしながら、週末は野球観戦やショッピングを楽しめる新しいライフスタイルを提案しています。

エスコンフィールドの課題

エスコンフィールドは、北海道北広島市にある日本ハムファイターズのホームスタジアムです。野球場を中心に、ホテル、グランピング施設、ドッグラン、農業体験施設などを併設した複合施設で、野球がない日にも入場できます。しかし、こうした大規模な開発には課題もつきものです。

まず、建設費の高騰が懸念されます。エスコンフィールドの建設費は約640億円とされており、当初の計画を上回っています。また、維持管理費も年間約10億円と高額です。施設の稼働率を高める工夫が求められます。

次に、周辺地域への影響が懸念されます。エスコンフィールド周辺は住宅街ですが、大規模な開発により交通渋滞や騒音問題が発生する可能性があります。また、施設の利用者が周辺の商業施設に流入し、地元経済に影響が出ることも考えられます。

横浜DeNAベイスターズによる横浜スタジアムの買収

横浜スタジアム

横浜DeNAベイスターズは、2016年に横浜スタジアムを買収しました。それにより、チームはスタジアムの収益をすべて手にすることができ、観客席の増設や演出の幅を広げるなど、大幅な改修が可能になりました。その結果、観客動員数は大幅に増加し、現在では3万2000人を収容できるまでになりました。スタジアムの買収は、チームの財務状況を改善し、ファンにとってより魅力的な施設を作り出すことに成功しました。

横浜スタジアムの再開発

横浜スタジアム再開発

横浜スタジアムの再開発プロジェクトは、スタジアムの経営難を解消し、地域経済の活性化を図る取り組みとして注目されています。2016年にDeNAがスタジアムを買収したことで、施設の改装やイベントの開催など、積極的な改革が行われています。その結果、観客動員数は増加し、飲食や物販などの収益も大幅にアップ。さらに、スタジアム周辺ではホテルや商業施設の開発が進んでおり、地域全体の活性化につながっています。このプロジェクトは、スタジアムの単なる改装ではなく、周辺地域も含めた街づくりという視点から行われている点が特徴で、今後のスタジアム運営のモデルケースとして期待されています。

横浜市役所跡地の再開発

横浜市の再開発プロジェクトの目玉となっているのが、横浜市役所の跡地再開発です。これは、地上49階建て、高さ約200メートルの複合施設で、ホテル、大学、ショッピングセンター、オフィスなどが入居します。商業施設には、飲食店や物販店だけでなく、エンターテイメント施設や文化施設も充実します。この再開発により、年間約1,500万人の来場者が見込まれており、周辺地域の活性化が期待されています。

飲食店予約サービスの導入

飲食店予約サービス

試合終了直後、空腹を満たすのに便利な飲食店を探すのは、野球ファンにとって面倒な作業。そこで、DNAは革新的な飲食店予約サービスを導入しました。このサービスにより、ファンは試合終了と同時に空いている飲食店を瞬時に確認できます。このサービスは、ファンがスムーズに飲食を楽しめるようにし、飲食店の空席率を改善することに貢献しています。

DeNAのスポーツとまちづくりへの取り組み

等々力アリーナ

DeNAは、プロ野球チームの横浜DeNAベイスターズの運営を機に、スポーツとまちづくりを融合させた取り組みを実施しています。2016年の政府によるスマートメニュー政策を受け、スタジアムを単なるスポーツ施設にとどめず、周囲にホテルやショッピングセンターなどの複合施設を整備し、地域活性化を図っています。

その代表例が、川崎市等々力陸上競技場を改修した、複合施設「等々力アリーナ」です。野球場やサッカー場などのスポーツ施設のほか、ホテルや商業施設を併設し、地域住民や来場者の利便性を向上させています。等々力アリーナは、地元の人々の愛着や、野球やサッカーなどのスポーツへの熱狂をまちづくりに活用することで、地域活性化に貢献しています。

川崎ブレイブサンダースとの連携

川崎ブレイブサンダース

神奈川では、プロ野球チームの横浜DeNAベイスターズがバスケットボールチームの川崎ブレイブサンダースとも連携し、まちづくりに注力しています。川崎市には新たなスタジアムが建設され、その周辺には複合施設が整備されています。これは、スポーツとまちづくりが密接に結びついており、地域活性化につながっている好例です。この連携により、川崎市はスポーツの熱狂的なファンを惹きつけ、街の経済を活性化させています。

SC相模原との連携

さらにDNAはSC相模原との連携を深め、サッカースタジアムの建設と地域開発を一体的に進めています。相模原市の新スタジアムは、市内の中心に位置する好立地で、周辺には商業施設や住宅が整備される予定です。スタジアムの建設により、地域のにぎわい創出や雇用創出が期待されています。また、サッカーを通じて地域住民の交流や一体感を高める効果も期待されています。

今後もDNAは、スポーツとまちづくりの連携をさらに進め、地域活性化に貢献していくことでしょう。プロ野球だけでなく、サッカーやバスケットボールなど、さまざまなスポーツを軸としたまちづくりが全国各地に広がることを期待したいものです。

スポーツとまちづくりの相乗効果

スポーツとまちづくりの相乗効果

スポーツは人々を熱狂させ、地域に強い愛着を抱かせることができる強力なコンテンツです。この熱狂をまちづくりに活用すれば、地域活性化に大きな効果を発揮します。

例えば、川崎ブレイブサンダースSC相模原などのプロスポーツチームがスタジアムの建設や改修を通して、周辺に商業施設やホテルを併設した複合施設を開発しています。これにより、試合観戦だけでなく、ショッピングや飲食、宿泊などの消費活動が生まれ、まちの活性化につながります。

さらに、スタジアムの建設や改修は、雇用創出や税収の増加にも貢献します。建設作業員やスタジアム職員が必要となり、また、周辺施設の運営や観光客の増加により、飲食店や宿泊施設の従業員の需要も高まります。

このように、スポーツとまちづくりを連携させることで、地域経済の活性化や地域住民の満足度の向上につながることが期待されます。

DeNAの海外展開計画

国内において神奈川県だけにとどまらず、今後は海外へもDeNAのスポーツとまちづくりの連携を輸出する計画が明かされました。特に、バスケットボール人気の高いフィリピンやサッカー人気の高いタイなど、東南アジア諸国をターゲットに、スポーツとスタジアムを起点としたまちづくりパッケージの輸出を目指すとのことです。DeNAは、この海外展開を通じて、日本におけるノウハウを活かしながら、世界各地でスポーツとまちづくりを融合させた地域活性化に貢献していく方針です。